Wednesday ☂
…、眩しい。
頭…ぐらぐらする…
「ん……?」
「…っ、よかった。」
すぐに耳に入ったのは由紀ちゃんの心配そうな声。
…あれ?保健室、だよね。ここ。
「…っう、痛…」
「安達…頭動かしたら良くない。
寝不足とかが原因の貧血らしい…けど安静にしなきゃ。」
…貧血、?
あ…でも…確かに、昨日はあんまり寝てなかったかも。
「…ッ、私…話の途中で「ごめん。
俺なにも知らないのに、安達に気を使わせることばっか言ってた。」
「…、え?」
「さっき、7組の女子に聞いたんだ。
安達…千聖〔ちひろ〕さんと話混んでて、泣いてたって…。」
……あぁ、そっか…
私…由紀ちゃんの告白を断ろうとして、それで…
「なんとなく想像出来るよ、安達がなにを言われたかとか…」
「そんな…言われたとかじゃないよ。
ただ、…私が間違ってることを教えてくれたの。」
「間違えてなんかいないだろ!」
由紀ちゃんの言葉が少し強くなる。
「…好きになるために、いいところを見つけるために
その人を知っていこうとする安達のなにが間違ってるんだよ…」
……そんな風に、言ってくれるなんて思ってなかった。
「由紀ちゃん…」
「…もう、絶対に怖い思いも嫌な思いもさせない。
俺が守るから…ごめん、なんて言わないで…」
「…っ、だけど「東麻にも言いたいことがあるのは知ってるよ。」
寂しげな表情をなくしながら何時もの優しい目で私を見つめる彼。
ぼう、とする頭に由紀ちゃんの言葉だけが何度も繰り返される。
「…今日の放課後。
…6時に、七夕公園で待ってるから。」
約束までの時間は、
単純に考えてあと5時間ほどしかない。
心臓がばくばく音を立てる。
何も言わずに頷く私に微笑んだ由紀ちゃんは、静かに保健室を去っていった。