Wednesday ☂
そのあと、保健室を出て教室に戻ろうとするところを
後ろから掴まれた手によって妨げられた。
「沙綾?なにしてんだよ…つか、なんで保健室?」
「っ恭一くん…なんで?授業は?」
「ん?あぁ、まあ…
その前に俺の質問に答えろバカ。」
「…ちょっと貧血で…
って、わたしはどうでもいいの!
恭一くんまたサボってたの?駄目だよ!もう!わたしも戻るから行こう?」
「貧血って…よくねぇよ。
お前ほっせぇからすぐ倒れんだろ…ちゃんと食え。」
「……話を逸らして誤魔化そうとしても無駄だよ。
ほら、戻ろう!ねっ?」
「はぁ?…ったく、
俺はたった今、3日間の停学をくらったばっかなんだって。」
「……え?なんで「橘のアホと揉めたからな。俺あの後も教室荒らしちまったし。」
あ、お前のせいじゃねぇから気にすんなよ。と笑う恭一くんに
ぎゅっと胸が痛くなった。
…頑張って、学校に来るって言ってくれてたのに。
わたしはまたそれの邪魔をしてしまった。
あの時はっきり断って一緒に学校行こうって言えば、こんなことにならなかったはず。
「恭一くん…わたし「やっぱり。沙綾の好きな真面目な男に、俺はなれねぇな。」
「、え……?」
「ほんっと駄目だよな俺、だっせぇ。」
ゴメン。約束守れなかったわ。
そう続ける彼の作り笑いにわたしの思考回路はぴたり、と止まる。
「このままじゃお前にカッコ悪いって思われちまうよな。」
わたしの頭に手を置いて、くしゃと髪を撫でた大きな手が
名残惜しそうに離れていく。