Wednesday ☂
「逢坂、でかい声で呼ばないでくれる?」
「橘、そんな迷惑そうな顔しないでくれる?」
饒舌な華凛に押され気味の彼は私の存在に気付いたようで、
私と目線を合わせるために顔を傾けた。
「この子、あたしの友達。
由紀と似てるから仲良くなれんじゃないかなー。」
「いや似てるってどこだよ。ねぇ?」
こくこくと首を縦に振るしか出来ない私を見て笑う2人。
人見知りではないはずなのに、この時は思考回路が働かなかった。
「なにちゃん?」
「っ、え?」
「名前、何て呼べばいい?」
「あ、…安達。安達でっ!」
名前は教えてくれないんだ、と笑う彼の声はやっぱり性格が滲み出てるのか優しい。
「俺は橘 由紀っていうんだけど…」
「由紀ちゃんでいーよ。」
「よくない!恥ずかし「可愛い、名前…」
「「へ?」」
自分でも心の声が外に漏れていたことに驚いて顔が赤くなる、
でも隣で下を向く彼も頬を染めてるように見えて。
「ほら、似てる。」
華凛の言葉にまた少しだけ、体温が上がるのが分かった。
〈これが、1ヶ月前。〉
〈由紀ちゃんと私の出会いの話。〉