Wednesday ☂


「……わたしね、ずっと自分の気持ちが自分で分かってなくて。」


彼の目を見て話すのは、
今までのどんな経験よりもドキドキして、
心臓の音なんか簡単に聴こえるんじゃないかってぐらい余裕がなかった。


「だけど、今はもうちゃんと言えるよ。
…こんなわたしの背中を押してくれた人がいたから、気付けたんだぁ…」


わたしは。

由紀ちゃんのことが、好き。



先に心で言葉になったキモチを、
そのまま 彼に届ける。



「…由紀ちゃんのことが好き、です……っ…」



きっと、恭一くんみたいに堂々としてなんかない。
きっと、華凛みたいに綺麗な言葉で上手く話せてない。
きっと、有村くんみたいに明るくなんて出来てない。


わたしは、

人に頼ってばかりですぐに迷惑をかけて…それで、すごく情けなくて。
そのせいで顔も名前も知らない人までが傷付いてた。


だけど、

それでも、


「……う、れしい。…っすっげぇ嬉しいよ!安達!
……どうしよう、待って…あー…頭ぐっちゃぐちゃだ…」


「…っ…ゆ、由紀ちゃん…?」


「…と、にかくさ…ちゃんと、伝えてくれてありがと…
…ッ俺も安達が好きだよ。一番近くで安達を見てたい。」


彼はきっと、
そんなわたしを好きでいてくれるから。


…雨は止む気配をみせないで、
そのまま、わたしたちを濡らし続けた。

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