Wednesday ☂
気持ちを伝えあって すぐに
由紀ちゃんがわたしの身体を引き寄せた。
ぎゅう、と抱き締められた感触から
雨の冷たさが消されて、
これが夢じゃないことを教えてくれた。
なんだかまだ信じられない気持ちが心を巡る。
「…やばい…ずっとこうしてたい。」
「か、風邪ひいちゃうよ…?」
「安達に看病してもらう…って駄目だ!
安達が風邪ひくじゃん!俺は馬鹿か!
ッごめんな…寒くないか!?」
今気付いた、と慌てながら
現実に戻ったみたいに騒ぐ彼に思わず笑ってしまった。
なんだ、変わらないんだ…。
…変わらなくても、いいんだね。
気持ちを伝えあったらきっと気まずくなるんだって思ってたから。
いつもみたいに心配性の由紀ちゃんに、すごく安心した。
「…なーんで笑ってんの。」
「だって…由紀ちゃんがいきなり…ぷっ、」
「俺は心配し…っくしゅん!」
「…え、ええ!?…ッ風邪ひくの早いよ由紀ちゃんっ!」
「ひいてないひいてない!ックション!
…っあ、…あれ…?」
「っとにかくわたしの家すぐ目の前だからっ!行こう!」
肩を震わせた由紀ちゃんに焦りつつも、
もうすぐそこに見えている自分の家に向かう。
…初めて、公園に近くてよかったと思ったよ。…由紀ちゃん。
傘のない二人でくっつきながらも、
見慣れたインターホンを押した。