Wednesday ☂
「沙綾ちゃーん!!席俺の前だよ〜!
みんな一緒になっちゃったね!」
「朝からうるさい、秋斗。」
教室に入るなり、
朝から元気な有村くんが変わらない金髪を揺らした。
「華凛と有村くんに挟まれるんだね…」
…ふ、二人の痴話喧嘩を毎日聞くことになるんだ。
「あ。そっか、俺と東麻だけ離れてんのかぁ。」
「悪いな由紀。
俺は華凛姉さんと沙綾ちゃんに囲まれてハーレムだ。」
「いや、お前だから逆に安心だわ。」
心配0と断言する由紀ちゃんになんだよ!と秋斗くんが嘆く。
みんなと過ごす一年、
今からすごく楽しみになってきた。
浮き立つ気持ちのまま
由紀ちゃんと有村くんの会話を聞いていると、
ガラッ!!と勢いよく扉が開いた。
「セーフ。なぁんだ、間に合ったわ。」
「おはよ沙綾。あと残りの奴ら。」
「お、おはよう…恭一くん。華凛。」
「おい東麻!残りの奴らってなんだよ失礼な!」
「ああもう朝からうっさいのよ!
こっちはあんたと席近いだけで絶望中だってのに…」
「由紀ィ!逢坂がいじめる!」
「俺に振るな巻き込むな」
遅刻間際に焦らず急がず教室に入ってきた華凛と恭一くんが加わって、
また大きくなっていく会話。
どうしようどうしよう
今、ものすごく幸せだ…
大事な友達と 特別な由紀ちゃんがいる教室は、
まだ始まったばかりなのにわたしの居場所になる。
幸せな気持ちに浸りながら、
学年主任…改め、担任の長い話を聞いて驚きの連続だった始業式は幕を閉じた。