Wednesday ☂

それから、華凛の言った通り共通点の多い私達は話すようになって。
アドレスを交換したり、CDを貸し借りしたり
由紀ちゃんとの関わりがどんどん増えていった。

誰にだって優しくてかっこよくて明るくて、
悪口の1つも聞かない人気者の彼のことを好きな女の子はきっと多かった筈。

一度だけ由紀ちゃんとそういう話をしたことがある。

「安達って彼氏いないの?」
「いないよ、由紀ちゃんもでしょ?」
「あー…、たぶん…?」
「何その返事、恐いよ。なんで疑問形なの。」

私の冗談半分の問いかけに、真剣な表情のまま由紀ちゃんが話を続ける。

長い睫毛が下を向いて、奥二重の線がくっきり見えた。

「安達がいないなら、いないんじゃないかな。」

私がいないなら、って。
……どういうこと?

「…えー、意味わかんない。」
「そうですか、相変わらず馬鹿ですね。」
「いえ、馬鹿ではないですね。」

なんで敬語なんですかね、と笑う由紀ちゃんは課題に目を移した。
結局、言葉の意味は教えてもらえなかったんだ。

ちなみに有村くんに出会ったのはこの後すぐのこと。

「ゆーき、」
「ん?…なんだ、秋斗か。」
「なんだとはなんだ。いやなんでお前図書室なんかにいんの?」

しかも隣にいんの5組の安達さんだ、と首を傾げる見るからにちゃらい男子。

「友達。」
「なにそれなにそれ!あっやしいな、おい。」
「うっせえよ。安達、こいつ馬鹿だからほっといてな。」
「やだ、俺も仲間入れてほしーな〜」

金髪にピンクのピンがトレードマークの彼は外見こそは派手でも
優しくて柔らかい雰囲気の人で、簡単に馴染むことが出来た。
< 5 / 71 >

この作品をシェア

pagetop