Wednesday ☂



初めてのキスから三日。

今日はみんなで新しいクラスの親睦会。


『 19時にカラオケに集合! 』

幹事の有村くんからのメールを見直しながらくるくる髪を巻いていく。
せっかくだし、おしゃれしていこうかな…なんて。

まだ待ち合わせまで2時間以上ある…
と、鏡を見ながら一息ついていた時。

♪ピンポーンとインターホンが鳴った。


もしかして、…

アイロンを机に置いたまま
玄関へ急いで 勢いよく扉を開けると


「ごめんないきなり、
今日のカラオケ一緒に行きたいなって。」

予想通り、私服姿の由紀ちゃんが待っていた。

「あのね、一緒に行くのは大丈夫なんだけど、
…まだ準備終わってなくて。」

片側しか巻けてない髪を見せると彼がほんとだ、と笑った。

「じゃあ待っててもいい?」

「もちろん…入って入って!」

由紀ちゃんが家に来るのはもう10回目ぐらいで
一緒に課題をしたり借りてきたDVDを見ていた記憶がちらつく。

どんどん二人の思い出が増えてるみたいで すごく、嬉しい。





部屋に入ってから、反対側の髪を巻き始めると
由紀ちゃんが興味あり気に隣に座った。


「沙綾、くるくる似合うよな。」

「えぇ…じゃあ由紀ちゃんもやってみる?」

照れ隠しに冗談で言ったつもりが、
予想外の反応をする彼がわたしの髪に触れる。


「あー俺ね、たぶんこういうの得意だよ。
姉ちゃんに届かないとこ頼まれてやってたし…貸してみ?」

言われた通りにアイロンを渡すと、
器用な手がしゅるしゅる髪をとってはウェーブを作った。

時々、ほっぺに触れる指にドキドキしてしまう。

だけどあったかくて落ち着く由紀ちゃんの仕草に、
自然とまぶたが閉じていった。

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