Wednesday ☂
「…沙綾、そろそろ起きない?」
「ん……?」
「あ、おはよ。」
はっきりと聴こえる優しい声に、
ぼーっとする目をこすりながら上を見上げる。
…由紀ちゃん?
あれ、なんだっけ…いま…なんで…
「…ぷっ、くく…
安達サン、もう目は覚めた?」
「え……?
えっ…あ…ちょ、っと…あああ!わたし寝て…!」
思い出し笑いをする由紀ちゃんに
寝てしまった恥ずかしさと寝顔をみられた後悔でしばらく頭が働かない。
「あー…俺はこのままでもいいんだけど、大丈夫?」
「へっ…!?」
驚きの連続にぱっと顔を上げると、すぐそこに彼の顔。
…こ、これは……
「も…もしかして…あたし…膝まくらさせてた…?」
「ん、寝心地は良かったみたいだけど?」
「…っ…ああもう!ごめんね由紀ちゃん!!
…あ、いま…時間!時間は…!」
「沙綾、まずは落ち着きなさい。
まだ6時だから間に合うよ。」
駄目だな…もう。
こんなのじゃわたし由紀ちゃんがいてくれないと、なんにも出来ないみたい!
いや、出来てないんだけど……
一旦、深呼吸をして
はぁ…と鏡を見るとしっかり巻かれたままの髪が映った。
「最後まで巻いてくれてたんだ…!
由紀ちゃん…っありがと!ごめんね」
「俺が好きでやってたんだから気にしないで?
あ、そろそろ出たほうがいいよな…
先外いって待ってるよ、お邪魔しましたっ」
「う、うん…!」
なんだかもう…
由紀ちゃんは本当に完璧な彼氏で、
わたしも、ありがとうしか言えない自分のままじゃ駄目だよね。
…しっかりしよう。
と気合を入れて、彼のところへ向かった。