Wednesday ☂

朝 5:30

普段より1時間以上の早起きは、少しだけしんどいけど
由紀ちゃんのためだから頑張ろうって思えた。

…お弁当、喜んでくれるといいな。
少しでもテストの気晴らしになれたら嬉しい。

「……よし、完成。」

使ってなかった青のお弁当箱に詰めていく作業が、
…なんだか大人になった気分というか…結婚したみたい。

由紀ちゃんが旦那さんで…
毎日朝はお弁当つくって…
いってらっしゃいって見送って…

「…ッ…な、なに…考えてるんだろ…!」

朝から妄想に浸る自分が自分で恥ずかしくなって、急いで制服に着替えた。






「おはようマロンくん!」

「あぁ…今日は早いな。」

「っ実はね、今日ね…由紀ちゃんにお弁当作ってきたの!
…だから、早起きで…」

「成る程な…橘も喜ぶだろ、泣いて。」

「ほんとに!?」

隣で頷くマロンくんにありがとう!と感動しながらも、
とにかく今はテストのために単語帳を開いた。




……


「偉いな、朝から。」

「…あ、っおはよう由紀ちゃん!」

「ん、おはよ。」

まだ眠たそうにあくびをする由紀ちゃんは、きっと昨日も遅くまで教科書と戦ってたはず…!

「由紀ちゃん!今日ね」 「沙綾、今日さ」

お互いハモってしまった言葉に、先にどうぞ!と一旦引いてみる。

「じゃ、俺から。

今日沙綾の好きなメロンパン買ってきたから、一緒に食べよう?」

「えっ……メ、メロンパン…?」


…いつも、わたしも由紀ちゃんも購買派なのが裏目に出てしまった。


「ほら、テストに向けて食わないと頭入んないし
…いっぱい買ってきた!」

さっきわたしのお弁当話を聞かされていたマロンくんが
由紀ちゃんの言葉にどさっと机に倒れる。

…メロンパン…嬉しい…嬉しいよ…
けど、すごいタイミングだよ…!

< 59 / 71 >

この作品をシェア

pagetop