Wednesday ☂


「で、沙綾は?なに言おうとしてた?」

「あ…いや、…あの……」


言うべきか…
言わないべきか…

そんな時、隣からマロンくんが小声で呟いた。

「…言うべき、絶対。」

グッ、と親指を向けて助け舟を出してくれた彼に 精一杯感謝していると、
それを見た由紀ちゃんが不思議そうに首を傾げる。


「…あ、の!由紀ちゃんっ!!」

「う、うん?」

「ッ…今日は…お弁当食べませんか!?」

「……えーと、お弁当…?」

理解出来てない由紀ちゃんに
改めて朝の出来事を説明してみた。

「…だから、メロンパンは夜食にして!
今日の夜も一緒に勉強しよう!…、駄目?」

「…駄目じゃ、ない……全然。」

顔を抑えて嘆く彼は 幸せです…と肩を震わせている。

いや…そ、そこまで感動しなくても…


「沙綾が俺のために朝から…
ってあああ!にやけてるよな俺!見ないで!」


顔を隠す彼にわたしまで恥ずかしくなる朝だった。







そして、待ちに待った昼休み。



子供みたいに期待してる由紀ちゃんと
期待外れだったらどうしようと不安になるわたし。

今日はみんなが変に気を回してくれたおかげで、机は二人でくっつけることに。

…そんな状況で、
少し戸惑いながらも、お弁当箱を取り出した。


「…おお!あ、待って!
開ける前に写メ撮るから!」


「ええ…!…わ、わかった、」


カバーのないiPhoneがカシャ、と音を立てる。
それを見て笑っているクラスメイト。

なんだろう…この恥ずかしい感じは…


「開けてもいいッ?」

「っうん、ごめんね。
本当にただのお弁当だけど…」


もちろんこの後も写真は撮られて…
嬉しいのと同じぐらいの恥ずかしさがわ
たしを襲う。

だけど、


「っ美味そう!!…てか美味いよ!」


すぐに卵焼きを食べて
100点の笑顔で褒めてくれる由紀ちゃんを見れば、

単純なわたしは嬉しさが勝つんだった。

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