Wednesday ☂



「やっぱり、沙綾はいい嫁さんになるな…」


「そ…そうかな…ありがとう…」


「あ、俺のね?」


みんなの視線も気にせずに甘い台詞を続ける由紀ちゃんは、
さすが東麻くんに王子様って呼ばせただけある…

最近すごく恋人らしいっていうか…
由紀ちゃんが前よりも積極的で…

…どんどん、好きになってしまう。


考えるたびに赤くなる顔を抑えていると、
ごちそうさま!といつの間にか彼がお弁当を完食してくれていた。


「…あ。そうだ。

沙綾、お弁当箱持ってこっち向いて?」


「え…う、うん?」

言われた通りにすると
カシャ、とまた由紀ちゃんのiPhoneがシャッターを切る。


「……よし、これ俺の待ち受け。
嫁さんと手作り弁当、です。」


「よ…嫁さんって…ていうか待ち受けは恥ずかしいよ!
それならわたしもする!」

「ん?いいよ?」

「…いいの!?」

「ほら、ペア画像みたいでよくない?」

「…ほ、ほんとだ…!」


結局、お互いの写真を待ち受けにすることになって
並べたふたつの携帯を見ると、なんとも言えない幸せな感じがした。

正直、写真の中でもかっこいい彼は見るたび心臓に悪いけど…

由紀ちゃんも携帯を開いたとき、
わたしを思い出してくれるのかな。


なんだか、想像するとそれだけで元気づけられる。

…テスト、頑張ろう!


そんな訳で 今日のお弁当は、
わたしにとってもテスト期間中の息抜きになった。


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