Wednesday ☂
無事に…かは分からないけど
終わりを迎えたテスト週間。
赤点が不安になる教科はなかったからたぶん、大丈夫。
心配なのは前の席で開始後すぐにペンを置いてた有村くん。
……な、なんとかなればいいけどね。
テスト採点日の今日は午前授業で、
家に帰るなり わたしは解放感に浸っていた。
なのに。
「なんであんたと一緒なの…」
「俺も借りたいCDあったから。」
「だからって…なんでわたしが漕ぐ方?」
「年上がやるもんだって、文句言うなよ。」
みたい映画を思い出して近くのレンタルビデオ店に行こうとしていると、
同じように暇をしてた可愛げの欠片もない弟がついてきて…
結局、姉弟そろって
仲良く…はないショッピングに行くことになったのだ。
「…あ、そうだ。テスト出来たの?」
「去年の問題用紙見てたし、それなりに。」
「…それ目当てで同じとこ来たんでしょ。」
「バレた?…て、んな訳ねーじゃん。
家から近いからだよ。」
今年の新入生の中には、弟の名前があった。
入学式当日に、同じ制服を着た姿をみて初めて知ったけど。
…わたしをびっくりさせるために私学に行くって当日まで嘘をついて、
ほんと…あの時は……
思い出すと弟には昔から困らされてばっかりだった。
そして今も
自転車を必死に漕ぐわたしの背中に、
平然ともたれかかる奏汰に呆れる。
「しっかりしなよ、もう。」
「あ、由紀ちゃん先輩だ。」
「えっどこ!?」
「嘘だっての〜プププ〜」
「…奏汰がお母さんに内緒で買った高いスニーカー、やっぱり報告しようかな。」
「悪かった。スイマセン。」
……こんな感じで、いつも通り喧嘩をしながら
どうしようもない弟を連れたわたしは目的地まで辿り着いた。