Wednesday ☂


「ッ…沙綾!この男…誰!」

「………え?」

相変わらず真剣な由紀ちゃんに、思わず声が漏れた。


「だ、だから…この男は…!っていうか…なにしたの!」


…そ、ういえば…由紀ちゃん、
奏汰の存在は知ってても見たことなかったっけ…。

成る程…

だから心配して走ってきてくれたんだ!


「…あ、あのね。」

「うん?」


「…弟と、クレープ食べてました。」

「どうも、安達奏汰です。」

「え!?…っあ、…奏汰くんって…
あー…そっか!弟か!ていうか似てるのに気づかない俺って…」


「ゆ、由紀ちゃん…?」

「ゴメン!今すっげぇ不安で…沙綾が知らない男と2人で、とか考えてた。」

「そっそんな…わたしもびっくりさせてごめんね!」


良かった…と笑う由紀ちゃんは、改めて奏汰を見返す。


「いきなりごめんな、
お姉さんと付き合ってる橘 由紀って言います。宜しく!」

「こちらこそです、
こんなしょうがない姉ですが頼みます。」

2人の会話を聞いているのは少し不思議な感じで、
…なんだろう…そわそわするなぁ。


「ねぇ由紀ちゃん、戻らなくていいの?友達は…?」

「あっ、そうだ…じゃあ戻るな、
帰ったらLineするよ。奏汰くんもまた!」

「うん、じゃあねっ」

「…あ。沙綾、」

「な…ッー」

唇に触れた優しい感触に、声が止められた。

その瞬間。
キスされたんだと理解して、すぐに顔が熱くなってくる。

「甘…クリームついてた。」

べ、と舌をだした彼に見惚れたままのわたし。

由紀ちゃんが戻っていっても、しばらくは…
心臓がばくばくと、いつもの数倍速く動いていた。



そのあと、散々奏汰にいじられて…
このコトは1ヶ月に渡ってネタにされました。


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