Wednesday ☂
放課後。
華凛に言われた通りに由紀ちゃんの家に向かう。
一緒に行こうって言ったのに用事あんの、と適当に返されて結局は1人。
由紀ちゃんの家に行くのは初めてだ。
っていうか、いきなり…迷惑じゃないかな。
学校から近いこともあって迷うことなく[ 橘 ]の表札のある家に着いた。
……お母さん、が出るのかな。
…どうしよう。
こんにちは、橘くんの同級生なんですけど…みたいな感じ?
ていうか私、何しに行くのかもわかってないし。
インターホンを押すだけなのに、落ち着かない気持ち。
私は深呼吸をしてから思い切ってボタンを押した。
『…ハイ、橘です。』
…っ由紀ちゃんだ!
機械音からでも分かるがらがらに枯れた声。
やっぱり風邪引いてたんだ…、ゼリー持ってきてよかった。
「あの、…安達です。」
『安達!?…えっ、ちょ…ちょっと待って!』
声の後、すぐに開いた玄関から出てきたのは
顔が火照ったいつもより虚ろな目の彼。
「安達っ、…ど、した…?」
「ご、ごめんね!しんどいのに…すぐ帰るから!」
「いや…」
「由紀ちゃんが学校休んでるって聞いて、…大丈夫かなって。」
「……え、…っマジかぁ…」
へなへなと崩れて玄関に座り込む由紀ちゃんに私は思わず駆け寄る。
「由紀ちゃんっ!大丈夫!?」
「ちが…、大丈夫だから…!
なんか…その嬉し、くてさ…」
「へ…?」
「あーもう、あんま顔見ないで…今すっげぇにやけてる…」