Wednesday ☂
しばらくして顔を上げた由紀ちゃんは私を見て少し表情を緩めた。
「…安達が、来てくれたからもう大丈夫。…ありがと。」
「全然!私が勝手に来ただけだし…」
それから久々に話せて良かった。
その正直な気持ちは言葉には出来なかった。
「……はぁ、てか安心した。」
「え?」
「安達、俺のこと避けてたし。嫌われたかなって。」
「えっ、そんなこと…!」
「…なんとなく分かるよ。なんか言われた?」
「あ…言われたってゆうか…なんてゆうか…ちょっとした噂?」
「うん、…俺も色んな奴に聞かれたし知ってるよ。」
みんなそういう話題大好きだよな、と笑う彼に距離を置いてたのは確かなことで。
噂に振り回されてた自分が今更情けなくなる。
「ごめんな、…嫌だった?」
「由紀ちゃんは悪くないよ、
…でも、ああいう噂は良くない、し…それに…」
由紀ちゃんのことを好きな女の子がいたら、きっと傷付くよ。
そう言ってうつむいた自信がない私の言葉に由紀ちゃんは溜息をつく。
「だいぶ俺が傷付いたかも。」
「え、どしたの?」
正直、この状況にまだ慣れないから何を言ったらいいのか分からない。
それに2人で話すのは久々で、しかも由紀ちゃんの家の前だし…
自然と心臓の音が早くなっていく。