Wednesday ☂

「あ!由紀ちゃん、みかん好き?」
「え、なになに?みかん?」

話を切り替えようとする私に気付いた由紀ちゃんは笑いながら頷く。


「これ、ゼリーなら食べれるかなって。」
「さんきゅ、正直飯食ってなかったから助かる。」
「あーそれ駄目だよ。
しんどくても何か食べなきゃ治んないし。ちゃんと食べて下さい!」
「ははっ、ありがと。今日は食うよ。」

由紀ちゃんは男子の中でも細身だし…
ていうか私、すごいお節介…偉そうに言っちゃてるかな。

「そうだ、またなんか奢らせて?今日のお礼。」
「ううん!いいよそんなの!」
「俺がいやなの、明日昼休み開けといて?」

引かない様子に彼の言葉に頷く。
いつの間にか暗くなった通学路に音を立てる風が吹いた。

「寒…、」
「あっ、由紀ちゃん早く部屋もどって?
悪化したら大変だし、」
「…うん、そうする。」

「じゃあまた明日。お大事に!」
「気を付けてな。安達、ほんとありがと。」

優しく微笑む由紀ちゃんに手を振って、
寒さに耐えながらも私は家へ帰った。
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