マーメイドの恋[完結]

マーメイドは、了承してくれ助手席に乗った。


倉沢は、自分のことを南木海岸でみかけたことはないかとマーメイドに聞いた。
マーメイドは、倉沢のことをボクサーだと思っていたらしい。
自分のことを知っていたことに、倉沢はとても嬉しかった。


プロボクサーになるのかなどと話をしていると、南木海岸に着いた。
外に出るとまだ日差しが強いので、車の中で話すことになった。


倉沢は、マーメイドの名前を聞いた。
相田夏子だとマーメイドは言った。


ー夏子さんという名前なんだー


やっとマーメイドの名前を知ることができた。
夏子という名前を聞いてすぐに、真夏の海を思い浮かべ、マーメイドにピッタリの名前だと思った。


そして、夏子にもそのことを伝えると夏子は笑った。
自分は泳げないのだと。


泳げないマーメイド。
それでもいいのだ。
岩場に座って海を眺めるマーメイド。
それが夏子なのだから。


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