マーメイドの恋[完結]
そのままマンションに帰るのだろうと倉沢は夏子を見ていたが、夏子は海岸の方へと歩いて行く。
倉沢はそれを眺めていた。
ーまた海を見るのだろうかー
そう思っていると、夏子は海の中へと入っていった。
倉沢は驚き、夏子のところに駆け寄り思わず後ろから抱きしめていた。
何をしているんですか!と、強く怒鳴るように倉沢は夏子に言った。
夏子は、どうしたの?などと言っている。
完全におかしくなっていると感じた。
その上、泳いでみようかと思ったと言った。
倉沢が、そんなこと出来るわけないと言うと、夏子は我に返ったのか、倉沢に抱きついて泣いた。
自分が何をしているのかわからなくなる程、その男のことを好きだったのかと思い悲しかったが、それならなおさら自分が夏子のそばにいたいと倉沢は思ったのだ。
できれば、夏子の部屋に行って、ずっとそばにいてあげたいと思った。
しかし夏子は、付き合っていた人とちゃんと話をしたいのだと言った。