マーメイドの恋[完結]

どうして?と聞かなくても、見たままのことなのだ。
本当は、ここまで来なくても良かったことなのだ。


しかし、マサだけは違うと思っていた。
マサが自分を裏切ることはないと信じていた。


やはりマサも、どこにでもいる男と同じ人間だということなのだろう。
マサだけは自分を見てくれ、自分を大事にしてくれる。
そんなことはあるはずのないこと。
夏子が勝手に、マサという人物を美化していただけに違いないのだ。


人の気持ちは変わるし、いつ誰を好きになるかなどということも、自分でも予想のつかないものでもあるのだ。
離れていれば、なおさらのことなのかもしれない。


そばにいても、結婚していても、別の人に心を奪われることもある。
恋人や結婚相手がいても、心変わりをすることもある人間という生き物の人生は、喜びよりも悲しみの方が多いと言えるのではないか。


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