マーメイドの恋[完結]
「だからそれがあんたの手なんでしょ!家族のように?笑わせないでよ。年増の女を抱いて、喜ばせてるつもりだっただけでしょ。被害者は他にもたくさんいるのよ。みんなで訴えを起こすことに決めたから。楽しみに待ってなさいよ!」
ーこんな年上の女性を抱いて、お金を稼いでいたのね篤志さんー
女性は帰って行ったが、きっと裁判になるのだろう。
伊原は、部屋に戻ってから夏子に弁解をはじめた。
「なんなんやろね、あのおばちゃん。こっちが訴えてやりたいくらいやんね。あんなところで変なこと言われて」
夏子は、もうあまりそのことについて聞きたくはなかったが、少しだけ聞いておこうと思った。
「篤志さん、新しい仕事って下着や宝石を売っていたの?」
「そうばい。すごくいい下着なんよ。痩せるっていうより健康になるんよね。勘違いしとうとばい、あのおばちゃんは」