マーメイドの恋[完結]
「これからも続けるの?その仕事」
「続けるに決まっとうやんね。夏子まで疑うんね。悲しか〜。セレブのおばちゃんたちは、普通のものじゃ満足せんったい。宝石も石が違うとばい?それをわかって買ったくせにくさ、なん言いようとばいね」
「サービスでセックスもしてたの?」
「そんなことするわけなかろうもん。あげなおばちゃんと」
「わかったわ」
伊原は、何処かに電話をして焦ったような感じで部屋を出て行った。
翌朝、夏子は伊原のマンションを出た。
『篤志さんごめんなさい。実家に帰ります。もうここには戻りません。さようなら』
そんな内容の置き手紙を置いた。
実家に戻る前に、行きたい場所があった。
そう、夏子のビーチだ。
ーマンション売らなければ良かったな。もうマサのことは思い出さないと思うしー
夏子は、ビーチからマンションを見上げた。
買ったときは500万だったが、売るときには100万くらいにしかならなかったので、もう買うこともできない。
夏子は後悔したが、これで良かったのかもしれないと思う気持ちもあった。