マーメイドの恋[完結]
「夏子ごめん。謝るのが先やったね。でも、ほんとに俺は夏子のことをここでずっと待っとったんよ。今日、夏子が現れたからつい。言い訳になるかもやけど、俺ね、プロテストを受ける前に、練習中に倒れたと。医者からは、もうボクシングをやめないと駄目だと言われたんよ。脳へのダメージが強くてね。俺は死んでもいいから続けるつもりやったんやけど、ジムの人から受け入れてもらえんかったと。それでもうなんも考えられんごとなって」
だから女の人を部屋に連れ込んで、あんなことをした?
だから許してくれと言いたいのか。
そんなことだったんだと、笑って許せると思うのか。
「大変でしたね。プロボクサーになる夢が駄目になってしまったんですね」
「夏子、許してもらえんと?もう絶対駄目なんね?」