マーメイドの恋[完結]

「あの女の人に慰めてもらえばいいじゃないですか」


「好きでもなんでもなかったとよ。ほんとにごめん。どうかしてたよ」


「マサは、すごく苦しかったかもしれないけど、私がどれだけ心配したと思ってるの?なのに、あんなところを見せられて」


「悪かった。ほんとに悪かった。恥ずかしかったとよ。夏子にプロになれんことを伝えることが。悔しかったとよ」


「許さない。絶対許さない」


違う。
許したい。
しかし、その言葉が出てこない。
マサがここにいることが嬉しいのに、反対の言葉しか出てこないのだ。
夏子はマサに甘えているのだ。


「ごめん夏子。ごめん」


マサか夏子を抱きしめた。
夏子は、マサの胸の中で大泣きした。


「マサ、会いたかった」


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