マーメイドの恋[完結]

何故マスターが自分の名前を知っているのか、モモに聞いたのだろうか、などと考えながらマスターの顔を見ていると、なんとなく知ってる人のような気がしてきた。


「ナツ!伊原先輩よ。地元の先輩。ワルで有名な」


モモからそう言われて、夏子も思い出した。
確か4つ上の伊原篤志だ。
小学校は同じだったが、中学はすれ違いに伊原が卒業したので、時々噂で聞く程度の先輩だった。


「おいモモ!ワルで有名は余計だろ。夏子ちゃんは俺のことは覚えてるかな?たぶん知らないよな」


「あっ、いいえ。知っていますよ、お久しぶりです。話したことはなかったと思いますが」


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