マーメイドの恋[完結]
「いえ、諦めてはいません」
そんな話をしているうちに、南木海岸『夏子のビーチ』に着いた。
「車の中で話しますか?」
「そうね、座るところもないし」
「岩場ならありますけどね。あそこにいつも座って海を見てますよね。ええと、名前教えてもらってもいいですか?」
「あ、ごめんなさい。相田夏子です」
「夏子さん。うわぁ、ピッタリな名前ですね」
「えっ?どうして?」
若いのにお世辞がうまい、やはりナンパに慣れてるのかもしれないと夏子は思った。
「海が似合う夏子さんは、やっぱり夏の海が一番似合うような気がして。すみません勝手なこと言って」
「私は泳げないのよ。ふふふ」