重奏 ‐アンサンブル‐
菖と土方が月見をしている頃、新撰組の屯所でも月見と称して酒盛りをしていた。


ただ、そこにいない人物が2人。

一人はもちろん土方だが、もう一人は山南だ。


山南は監査部隊の一人、山崎烝より報告を受けていた。



「ここ最近は反幕府勢力も落ち着いてきています。」


「そうですか。嵐の前の静けさとならないように警戒は続けましょう。」


「はい。……ところで、山南様はオラシアという組織はご存知ですか?」



「いいえ、聞いたことがありませんね。」



聞き慣れない名前に山南は首をかしげる。



「裏の世界で暗躍している暗殺組織のようです。ただかなりガードが硬く全容は分かっていません。」


「その組織がどうかしましたか?」


「噂の域を出ないのですが、反幕府勢力が大人しいのはオラシアが新撰組を潰すからだと。」


「成る程。オラシアが殺るから自分たちが動かなくてもいいということですか。」



そういう理由なら目立った動きがないのも納得がいく。
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