重奏 ‐アンサンブル‐
「噂でしかないのにかなり信用されているんですねぇ。」


「海を渡った国々では有名らしいです。」



今は表立った争いはなく一応平和だ。

だが、暗殺組織が進出してきたとなれば、表と裏の均衡が崩れ裏の勢力が増してしまう。

幕府としても新撰組としても、それは避けたい。



「新撰組を暗殺ですか。随分と甘く見られたものですね。」



人数が多い上に幕府直轄組織。

暗殺となれば骨が折れそうなものだが。



「しかし気を付けるに越したことはないでしょう。その組織、探ってみましょうか。」



「分かりました。」



山崎がいなくなると山南も月を見上げる。



「暗殺組織…ですか。」



自分達も似たようなことはしている。


表か、裏か


京を守る為か、私利私欲の為か

目的は違うが、他の者から見ればやっていることは同じ。



「結局、同じ穴の狢ということでしょうかね。」



山南は一人自嘲の笑みを浮かべるのだった。
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