重奏 ‐アンサンブル‐
土方に送ってもらい、床につく準備をするが眠る気になれない。



ぼんやり月を見上げる。



―――何故…?



菖、いやレイスは自問自答していた。


土方に話した菖の過去は、ほとんどレイス自身のことだ。



違ったことといえば、今は薬師ではなく暗殺者であること。

それから、師匠の死の経緯。



レイスの師匠、不知火厳羊(シラヌイ ゲンヨウ)は病死ではない。



立ち寄ったある町に、新撰組と大立ち回りをして怪我をした反幕府勢力である倒幕志士の残党が療養していた。


怪我人を放っておけなかった厳羊は治療をした。



それが幕府反逆に当たるとして、見せしめの為に町民もろとも捜索していた新撰組によって殺されてしまった。



それも、現場の指揮をとっていた土方に。
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