重奏 ‐アンサンブル‐
「まさか貴女だったとは、驚きですね。」


「本当に君が…」



「!」



土方への思いが溢れていた菖は、刀が転がった音に気付いた近藤と山南に背後を取られてしまった。



キンッ―――………



「っっ……、待ちなさい!」



3対1では分が悪い。

向けられた刃を交わし塀を越える。



「まじで菖…なのか…」


「信じられないけど本当みたいだな。」



「!!」



塀を越えた先にいたのは、討ち入りに出掛けたはずの沖田と平助だった。


何故2人がいるかは菖には分からなかったが、5対1では更に分が悪い。



「のわっ!!」



持っていた短刀を手前にいた沖田に投げつけ、町の中心部とは逆方向へ。



「沖田くん、平助くん!追って下さい。」



山南に言われ平助は追いかける。

放置すると危ないので短刀を拾い布でくるみ懐にしまうと、沖田も後を追った。
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