重奏 ‐アンサンブル‐
「……甘い、ですね。」


「え?」


「傷付けたくないのは、私だからですか?平助さんを、新撰組を、助け利益をもたらした反幕府ではない人物。だからですか?」



「それは……」



菖の顔に悲しみが見てとれて近藤は言い淀む。



「菖、お前本当に暗殺者なのか!?俺達を騙してたってことかよ!?」


「平助、落ち着け。」


平助はいまだに信じられない様に興奮しており、沖田が抑える。



「不知火厳羊…と言ったな、お前の師匠の名前。」


「不知火厳羊…確か腕の良い薬師だと土方さんが言っていた人物ですよね。」


「あぁ、俺はその人物を斬ったらしい。」



菖の目的が土方より語られる。



「え?!」

「まじですか?」


「成る程。復讐、という訳ですか。」



山南は納得がいったが、沖田と平助は驚きを隠せない。



「初めから仕組まれていた、そういうことなのか……」



近藤に至ってはショックを受けている様だ。
< 39 / 61 >

この作品をシェア

pagetop