重奏 ‐アンサンブル‐
「なんで心配しているんですか?私、敵ですよ?」



土方の行動に苦笑い浮かべ、体勢を整えながらその大きな背に問いかける。



「じゃあ何でお前は味方に攻撃されてんだ?」


「そうですね。見るからにお知り合いみたいですし。私も不思議に思いますよ。」



土方の疑問は最もだと、応戦しながら山南も賛同する。



「その疑問、冥土の土産に答えてやろう。」



護衛にドールを数人控えさせた鞍雀が、嘲笑うかの様に口元に笑みを浮かべながら話始める。



「復讐心を買ってお前を育ててやったのに、その恩も忘れよって。恋心などに現を抜かしていたこと、俺が気付いてないとでも思ってたのか?」



「「っ…!!」」


「(成る程。そういうことですか。)」



鞍雀の言葉に、菖と土方は目を見開き、山南は2人のこれまでの言動に納得する。



「「「(恋心?)」」」



山南以外の隊士は、思い当たる節が無いのかただ鈍感なのか、不思議そうに菖を見る。
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