重奏 ‐アンサンブル‐
「まぁ余興にはハプニングは付きものだ。」



うんうんと頷き一人納得する。



「我がコレクションのドールもいくらか減ってしまったな。」



部屋にあるビスクドールを眺める。



「ドールもお前達の様に、いつまでも美しく壊れたら作り直せれば良いのだがね。」



人間というのは至極残念な生き物だ。

マスターはつくづく思う。



「代わりなどいくらでも造れるが、精度はもっと上げなければいかんな。」



己が立てた完璧な演目を演じるマリオネット達を。



これから忙しくなる、そう満足気に笑みを浮かべるのだった。




今回も、それまでも、これからも、オラシアの暗殺劇は続く。

マスターと貴族達だけが知る、暇潰しの賭け事であり、無情なお遊びが―――。
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