Sun time

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私は世界で一番嫌いな人を聞かれたら
間違いなく自分の名前を答える。


逆に一番好きな人を聞かれたら私は、迷わず陽葵の名前を答える。



私は生まれた時から色素がなかった。


先天性白皮症。アルビノともいう。


目は薄い桃色。真っ白な肌。髪も真っ白。


紫外線に弱く、少しでも太陽の光を見ると失明の恐れだってある。


だから外にでれなかった。


たまに外に散歩にでると、化け物だと言われ村の人達から石を投げられた。





だけど私はお父さんとお母さんがいたからここまでやってこれた。



いつかは2人に恩返しがしたいな…。



お金を稼げるようになったらお母さんに服を買ってあげてお父さんには高いお酒を飲ませてあげたい。



大人になってちゃんと自立して。




産んでよかったっておもってもらうんだ。






いつも通りの朝。



「お父さん…お母さん…?」





静かな部屋に、私の声だけが響く。




今まであったお父さんとお母さんの荷物はどこにもない。



台所まで走る。



「お母さん‼︎‼︎」


いない…。



お父さんの部屋まで走る。


「お父さん‼︎」


いない…。



そう広くもない家を私は走る。


そして何度も繰り返し呼ぶ。


「お父さん‼︎…はぁ…はぁ…お母さん‼︎」



静まり返った部屋に響くのは私の声だけだった。





捨てられた?



その、言葉が私の頭に浮かんだ。




あぁ、やっぱり…私が


化け物だから…?


私の所為で近所の人からも煙たがられてたんもんね…。石も投げられたし、ゴミだって家の前に置かれたもんね…。


いつもお父さんとお母さん、悪くもないのに頭下げてたもんね…。





真っ白なのに…私は…真っ黒だ。








それでも…信じてたんだ。お父さんとお母さんはずっといてくれるって。
私はバカだからさ。



歯がガチガチと音をたてる。



あまりにも怖くてまだうまく理解できなくて…。






どうして私は、普通じゃないんだろう。



どうして私だけこんな思いをしなきゃいけないんだろう。





どうして私は………







「うわああああああ‼︎」





1人残された家の中で悲鳴をあげた。




悲鳴をあげたって誰もこない。


誰も手を差し伸べてはくれない。


同じ人間なのに…!!!



感情に任せて叫んで泣いて暴れた。


今まで我慢していたものが体から…声から…溢れてくるのが自分でもわかる。





大嫌いな自分がうつる鏡を割って粉々にして、部屋中のものを倒して壊した。



鏡の破片で切った手は赤く染まっていた。そう血がでたのだ。



痛い…。


血だって流れる。痛みだって感じる。
悲しみだって苦しみだって感じる。
私は普通なのに。


なのに…こんな見た目のせいで…。




大好きだったはずのお父さんとお母さんでさえ憎い。



2人のような真っ黒な髪と目で生まれたかった。


そんなこと言ったて仕方ないことなんてとっくに分かってる。



それでも、どこにぶつけていいか分からないこの怒りをただ私は物にぶつけた。








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