Sun time
そんなことを思ってるうちに第一相談室についた。




ガラガラとドアを開けた。




「お、お兄ちゃんっ!?」



真子が声を張り上げてそう言った。




成瀬蓮だ。




「あ、真子。それと…相楽さん。」




「こ、この前は、運んで頂いてありがとうございましちゃっ!」



噛みました…。


ボワッと顔が熱を持つのがわかる。


うぅ…穴があるなら入りたい…。





「大丈夫だった?」



そんな私に優しく微笑む成瀬さん。




「は、はい‼︎」



「なら良かった。」



ニコッと優しく微笑む蓮君はどこか懐かしくて、彼の顔を見るとなぜかホッとした。

喉の奥がキューと締め付けられるような感じ。



あぁ…なんか泣きそう。



悲しいわけでもないのに目頭がじわっと熱くなる。



何かの病気なんじゃないか?というくらい高鳴る心臓。




日向……




「おー。このクラスの実行委員は皆女子なんだなー」




蓮くんの、後ろから顔をヒョコっと出す男の人。


少し癖っ毛な柔らかい茶色の髪。
茶色い瞳。
スッとした鼻。


成瀬さんとはまた別な雰囲気のイケメンさんだ。



「あ、俺、望月奏叶(モチヅキ カナト)っす。
蓮と同じクラス‼︎よろしくな。」



ニコッと笑みを浮かべ指でピースマークを作る望月さん。



成瀬さんと、同じクラスってことはこの人も特進の人ってことだよね。

頭も相当いいのであろう。


望月…望月…どこかで聞いたような…。


あ‼︎思い出した‼︎望月さんって…入学した時イケメンって騒がれてた人だ ‼︎


成瀬さんと真子と望月さんの3人が並ぶと迫力があった。




羨ましいなーなんて思っていたその時だった。




「美琴……美琴‼︎ねぇ、美琴‼︎」



葉月は顔を真っ青にして私の制服の裾を掴む。



「ど、どうしたの!?葉月!?」


明らかに、辛そうな葉月。
息もかなりあがっているようだ。



「繰り返しちゃう‼︎嫌‼︎ 美琴、守るから‼︎
陽葵は私が守るから‼︎」



ズキン…




『ひまり』


その言葉が胸の奥に葉月の声が響く。



葉月と何かが重なった。
真っ白な髪の女の人だ。

見慣れたその真っ白な髪と桃色の瞳…。


貴方は…。


何かが私の口から出そうになった刹那




「 葉月ちゃん大丈夫?」



真子が葉月に手を差し伸べた。


そんな真子の声にハッとした。出そうになった言葉は私の中に押し込められてしまった。

思い出そうとするとズキンと胸の奥が痛む。




「触るな‼︎悪魔‼︎」




声を張り上げ、真子をおもいっきり睨みつけて真子の手をはらった。


バチン…と大きな音をが部屋に響いた。







手を払われた真子は払われた右手を嬉しそうに胸に当てていた。

不敵な笑みを浮かべながら。


ゾクッと嫌な寒気が背後を覆った。


分からない…。分からないけど…怖い。

真子の存在が怖くてたまらなかった。



真子が嬉しそうだったのは気のせいかもしれない。

しかも、笑ったなんて証拠はない。


真子はいい人だし、可愛くて照れ屋さんで…優しくて…。


なのに…なんでこんなに怖いのだろう。


真子に直接危害を与えられたわけでもないのに…。





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