Sun time
そんな時だった。
キィィィ
錆びた鉄のドアが開く音がする。
「ひゃぁっ!すみませんっ‼︎」
可愛らしい悲鳴が聞こえる。
悲鳴をあげたのは…あの転校生ちゃんだ。
転校生ちゃんがそこには立っていた。
小さいお弁当箱。両手でチョコンと持って困ったようにその大きい目をキョロキョロとさせている。
「えーと…成瀬さんだっけ?一緒に食べる?」
葉月はニコッと微笑みながら手招きした。
それにつられて私もニッコリ笑った。
「い、いいんですか!?ありがとう…‼︎」
すごく嬉しそうだった。
パァッと明るい表情になった真子ちゃんは、私達の方へチョコチョコと歩いてくる。
「えっと、改めまして成瀬真子ですっ!!
仲良くしてください!!」
深く一礼をしながら言った。
私たちも適当に自己紹介を済ませた。
「真子ってよんでいい?」
私が聞くと嬉しそうにまた、表情をパァッと明るくさせた。
「はいっ!ぜひ‼︎私は美琴ちゃんって呼びますっ!
…その…。良ければ葉月ちゃんも私のこと真子って呼んでくれませんか…?」
照れくさそうに真子は葉月に視線を送った。
「へ?わ、私 !?私は真子ちゃんって呼ばせてもらうよ…!
そ、そのなんか恥ずかしいし‼︎」
頬を人差し指でかきながら葉月はそう言った。
真子は少しシュンと、肩を下ろした。
だが嬉しそうに頬に手をやりニコリと微笑んでいた。
そんな真子をみて私はドキッとしてしまったことは言うまでもない。
*
「そーだ‼︎真子ちゃんは好きな人いるの?」
葉月は真子に尋ねる。
葉月にしては珍しい。
葉月がそんなこと聞いてるのをはじめて聞いた。恋愛に興味ないっていつも言っているし…今日の葉月はちょっと変…?
なんて思ったけど葉月の表情を見るにいつもと変わらない様子だ。
「ふぇ!?い、いないよ‼︎」
「そんなに可愛いのにぃ?」
「い、いるけど…その…」
「おっ?いるの?」
葉月今日はよく喋るなぁ…。
知り合ったばかりの子にこんなに話すのは、はじめてみた。
「言わない……?」
真子は頬を赤らめながら私達に問う。
仕草一つ一つが可愛らしい。
天性の可愛さなんだろう。
「言うわけないじゃんっ‼︎」
「美琴ちゃんも秘密にしてくれる?」
「勿論だよ」
そう答えると真子はスーっと息をすいこんだ。
私と葉月はゴクリと唾を飲み込んだ。
サァァァ春の香りを運ぶ風が吹く中、
真子は頬を淡いピンクに染め。
長い綺麗な黒い髪を耳にかけた。
この沈黙が長く感じられる。
「おにいちゃんが好きなの…」
そう一言言った彼女は私が今日見た中で一番美しかった。
恐ろしいほど綺麗な彼女の姿に鳥肌がたってしまった。