Love*Rainbow
「七瀬、悪いけど一人で行って。俺は芽衣に用があるから」
一ノ瀬くんはいつもより低い声で放つと、私の元にやってきて手を握ると
スポーツショップを出て早歩きで歩き出したんだ。
一ノ瀬くんの足が止まった場所は、休憩用に置かれているベンチ。
ドサッと座った一ノ瀬くんのとなりに私も座ると、彼は握っていた私の手を離した。
すると……。
「……俺ってどんだけ余裕ねぇんだよ」
と小さな声が聞こえてきた。
「一ノ瀬くん?」
「ごめんな。部活の時は我慢できんだけど、やっぱりそれ以外の時は無理だ……」
もっと余裕のある大人になりたいと一ノ瀬くんは言っていた。