オオカミと恐竜
後から追いかけてきたオオカミは、気の毒そうにいいました。

「じゃあ、あれー。ままぁーぁぃいたたたたっ!」

「抱きつくな。それはいがぐりだ。」

オオカミは、あわてて恐竜の赤ちゃんをいがぐりからひきはがしました。

恐竜の赤ちゃんはかたときもじっとしていません。

世話をするのはとても骨の折れる仕事だったのですが、

オオカミは、何かが心の奥のほうをくすぐりながら、湧き上がってくるのを感じました。

それは、生まれて初めて感じる、喜びでした。


たとえるなら、はじめて兄弟ができて、「おにいちゃん」と呼ばれたような。

大変だけれど、必死になって守りたいと思うような、そんな存在ができた喜びでした。
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