先生がくれた「明日」
第1章 校則違反

バイト

「いらっしゃいませ。あっ、」



思わず小さく声を上げたのは、目の前にいる人が見覚えのある人だったから。

ピッ、とバーコードを通す手が震える。

まずいー、ばれたらまずいよ!



「以上のお買い上げで、3,260円でーす。」


「でーす、じゃないだろ、新庄!」



あーあ、ばれちゃった。



「えー、3,560円のお預かりで300円のお返しです、ありがとうごっ、」


「来いっ!ばかやろう!」



お釣りごと私の手を引っ掴んだ先生は、呆気にとられるお客さんと店員さんを背に私を強く引っ張った。

観念してついてゆく。

あーあ、ついてない。

見付かっただけでも最悪なのに、それが生徒指導の跡部先生だなんて。

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