先生がくれた「明日」

最悪の結末

「ねえ。」


「え?」


「それ飲んだらさ、ちょっとこっち来て。」


「うん。」



ホットミルクを綺麗に飲んで、私は振り返った。


すると、そこにはさっきまでとはほんの少し違う表情の彼がいた。

真面目な印象の彼だけど。

今は彼の目に、何かが燃えている気がしたんだ。



「な、なに?」


「いいから、こっち来てよ。」



有無を言わせない口調に、私は一歩、二歩と彼に近づいて行った。

すると、彼は自分の隣を、ポンポン、と叩く。

そこに座れということだと悟り、私はベッドに、すとんと腰を下ろした。

そんな従順な私を、彼は満足そうに見下ろしていた。



「ねえ、キス、しよ?」


「え―――」



拒むすきも与えられず、彼は私に強引に唇を寄せた。

彼の肩を力いっぱい押しても、男の人の力には敵わない。



「っ!!!」



渾身の力を込めて逃げようとするけれど、彼は離してくれない。

それどころか、私はいつの間にかベッドの上で、仰向けに押さえこまれてしまう。

あ、まずい。

これは―――


彼の手から、逃れようもなくて。

私は、段々抵抗する力を失くしていった。

もう、どうすることもできなくて。



止まらない時間の中で思った。


やっぱり、こんな仕事、しなければよかった、と―――
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