先生がくれた「明日」
高速を降りて、一般道をどこまでも走る。

白い大きな橋にさしかかって、ふと横を見ると―――



「あ、」


「気付いた?」


「先生、海、だよね。」


「うん。」



私は、窓にはりついた。

先生が窓を開けてくれて、私は車窓から顔を出す。



「おい、危ないぞ。」


「海だっ!」


「そんなに珍しいか?」


「うん。一回しか見たことないもん!」


「内陸県だからな。」



私の感動をどう伝えたらいいのか分からない。

ついに、ついにこんなにはじっこまで来てしまったんだ。

海が、すぐそこにある。



「海が好きなら、よかった。」



私は、胸がいっぱいになる。

この景色、一生忘れない。

先生の隣で。

先生が運転する車で、渡ったこの橋。

真っ白で、大きいこの橋と、空と、海のコントラスト。

涙が出るくらい、鮮やかで美しい―――



「先生、」


「ん?」


「私、幸せだよ。先生に、こんなに綺麗なところに連れてきてもらえるなんて。」


「うん。」



幸せだよ、先生―――



橋を渡りきってしまうのがあまりにももったいなくて。

私は、ずっとずっと、その景色に目を奪われていた。
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