今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
「世界には、陽菜より強い選手なんて、ゴロゴロいるよ」

「そんなことくらい……知ってるよ」

「ふーん。じゃあ、負けるたびに怖いって言って逃げるんだ?」

 ちょっと、意地悪く言ってみる。


「……逃げ出してないもん」

 陽菜のぷんと怒った声。

「そう? 僕には逃げ出したいって聞こえるけど?」

「意地悪。ちょっとくらい、優しくしてくれてもいいのに」



 うん。そうだね。

「じゃあ、今度の大会で負けたら、うんと優しくしてあげる。いっぱい、いっぱい慰めてあげるよ」

 ちょっと、皮肉も込めて、さっきよりも意地悪く言ってみる。


「歩夢」

 声高な声がしたかと思ったら、

「イタッ!」

 陽菜は僕の唇の両端を摘まんで引っ張った。


 痛い。
 痛いから。


 思いっ切りつねらないでよ。

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