今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
「どの口がそんなこと言うの?」

 どの口がって、この口だけど。

 陽菜がこんな暴力に訴えるなんて思わなかった。

 よっぽど、悔しかったのかな?

 とかって、のんびり和んでる場合じゃない。
 ホントに痛い。

 陽菜って、もしかして、本気でやってる?


「いっ……ひゃい」

 陽菜の手首を掴んで自分の唇から引き剥がした。

 口元がヒリヒリするでしょ。

「陽菜、やり過ぎ。痛いよ」

 唇の端をさすりながら、訴えると、

「歩夢が意地悪なこと言うからでしょ」

 プンスカ怒って僕に背中を向けてしまった。


 盛大に拗ねちゃった模様。

 気配に悲観的な感じは受けないから、これ以上の落ち込みはないとは思うけど。
 人の心は見えないから。

 絶対、という言葉は使えないけれど。


 陽菜にはいつも笑っていてほしい。
 自信を持っていてほしい。

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