BAR FINE
あー、遅くなっちゃったな。
家着くのは9時すぎるなー。お腹減ったな。
でも課題終わったしよかった。
やっぱ学校の図書館が1番便利だなー。
早歩きで帰ろっと。
ドンッ
「きゃっ」
ドサッ
「痛っ」
「ごめんっ。
大丈夫?」
脇道からいきなり出てきた人にぶつかられて尻もちをついた私にその人は手を差し伸べてくれた。
暗かったけどイケメンなのはわかった。
私を急いで立たせてくれた後その人は申し訳なさそうに言った。
「そして重ね重ね申し訳ないんだけど、ちょっと事情があって人に見つかるわけにはいかなくてさ…」
そこで私はピンときた。
「あのー、もしかして芸能人の方ですか?
なら、私いい隠れ場所知ってるかもです…。」
「あ、いや、もう帰るから…」
「あ、そうなんですね。差し出がましい口きいてすみませんでした。」
頭を下げた私の反対側で高い声が聞こえた。
『あー!あれじゃない!?』
その人は後ろを振り向かずに
「やっぱお願いしていい!?
とりあえず走って!!」
と言って私の腕を掴んだ。