河童のかわたろう~生きていて欲しかった~
ざぱーん。

切り立った崖の上。

ひとりの人間が、ここに立っていた。

下では水音がしている。

彼はある事情から、泳ぐことができなかった。

その事情がもとで、ここへ来た。


「よし。」

ある決意をしたそのとき。


――なぁ~にしてんだ~?


なにやらぬるっとしているようで、がぴがぴに乾いているような、

妙は生きものがあらわれた。


「うっわわああぁあぁ!」


――よっぽどやましいことしようとしてたんだな…油断も隙もねえや。さいきんの若ぇ者ンは。
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