遅咲きプリンセス。
諸見里さんにはかなり失礼な言い方になってしまい、大変申し訳ないのだけれど、たかがリップグロスくらいで、私に男性を魅了できるだけの力が備わったというのだろうか。
……なかなかどうして、考えにくい。
けれど、間違ってもそんなことは諸見里さんには言えないので、珍しく本当に困った顔をしている課長と、そんな課長を小悪魔的にからかう諸見里さんの様子を、しばし窺ってみる。
が……。
「ちょっと鈴木ちゃん!モニターの件、受けてくれるの!? くれないの!? どっちなの!?」
と、またもや唐突に話を戻した諸見里さんの凄まじいオネエ口調に、私は咄嗟に口を滑らす。
「おおおお、お受けします!喜んでっ!」
……、……うぎゃっ!! 何を言うか、私の口!!
しかし、時すでに遅く、表情をぱぁぁっと明るくさせ「よかったわぁ!」と手をパンと小気味よい音を立てて叩いた諸見里さんに、私は曖昧に笑い返すしかなかったのだった。
マ、マジですか……。
モニターといっても、どんなふうに報告を上げればいいのかも分からないし、これから先、私は一体、どうなっちゃうのでしょうか。
不安だ。
……とっても。