遅咲きプリンセス。
 
私ときたら、いつもこうだ。

見た目が地味で、陰も薄いため、幽霊扱いをされることは日常茶飯事で、社内の人間関係でもそれ以外でも、休みの日に誰かと出かけるようなことも全くないし、誘いも受けない。

友人……と呼べるのかどうかは謎だけれど、一人暮らしの部屋でお世話している観葉植物が、今私が一番大事にしている相手だったりする。


私って、こう、今一つ、あか抜けない。

けして性格が暗いだとか、友人を作る努力を怠ってきたつもりでもないし、お洒落の勉強をしてこなかったというわけでもないと思う。

ただ、どうしても、あか抜けきれず、流行りのファッションやメイクに身を包んでみたところで、鏡の前の自分自身を見て「ナイわ……」と。

その一言に尽きてしまい、またいつも通りのダサい服に袖を通して出社する、そんな毎日だ。


「失礼します」

「ん。ここへ」

「はい」


応接室に着く前までに気持ちをリセットし、コンコンと2回のノックのあと、課長の「おう」という返事を待って、入室した。

あまりジロジロ見てはいけないけれど、お客様と課長に、それぞれお茶とお茶請けを出している間、なんとなくそちらに目が行ってしまう。
 
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