遅咲きプリンセス。
◇いつも厳しい課長まで!?
「発想はいいけど、なんていうのかしら。鈴木ちゃんと同じね。今一つ、あか抜けないのよ」
「そうですか……。すみません」
3日後。
プレゼンなんていう、ストレス200パーセントの仕事でも指折り数えて待っていた私は、諸見里さんのその言葉に、早々に出鼻をくじかれた。
発想はいい、けれど、あか抜けない。
それもそのはず、けして手を抜いたり適当に作ったわけではないのだけれど、今、諸見里さんがつまらなさそうに指でつまみ上げている試作品ポーチは、がっぽり私の手作りだった。
言い訳にしかならないけれど、有村君の結婚式の招待状を発見した、まさにあの日。
夜になって、試作品ポーチを発注していた会社から1本の電話が入ったのだ。
『ここのところのゲリラ的豪雪のせいで、そちらに向かったトラックが山間部で立ち往生してしまいまして……。期限の3日後に間に合う見込みは薄そうです。申し訳ありませんっ!!』
その電話を受けた私は「そうでしたか……」と、とりあえずは、こちらでなんとかします的なニュアンスで電話を切ったのだけれど、内心、なんてこった!! と泣きたい気分だった。
急いで課長に報告すれば、課長も「泣きたい」とポロリと本音を呟き、2人でしばし放心だ。