遅咲きプリンセス。
 
とはいえ、有村君は離脱してしまっても、私までそうするわけにもいかず、この仕事は責任を持ってやりきらなければならない。

課長には、諸見里さんに言われたことは気にするなと言われたけれど、どうしても気になってしまい、悔しいのも確かなのだ。


3日間、まともに寝ずに作ったポーチをつまらなさそうにつまみ上げられ、ぺいっ!と投げ捨てられたあの悲しさといったら……。

課長が拾ってくれなかったら、私が拾って、ぎゅーっと胸に抱き寄せるところだった。


そこで私は、諸見里さんを、あっ!と言わせるため、リサーチにも乗り出すことにした。

まずは、いつもお洒落な小林さんだ。


「あの、小林さん。小林さんは、どんな化粧ポーチだったら使ってみたいと思います?」

「あ、いたの?」

「はい、すみません、お仕事中に。それで、ポーチなんですけど、どういうのだったら……」

「そうねえ、あたしは、使い勝手は二の次でいいから、パッと人目を引くものがいいわね。特に男性の。それでいて、同性にも“あいつ、何ぶりっこしてんだよ”って思われないデザインだったら、ちょっと高くても買っちゃうかも」

「ありがとうございます……!」
 
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