遅咲きプリンセス。
相手は、上司の課長。
会議室どころか、部署にも誰もいない。
まったくもって2人きり、という、とんでもなくハードルが高い状況下において私は、すでに意識の半分は確実に放り出してしまっている。
で、でも……っ!
その意識を、ふんぬっ!とたぐり寄せる。
いつも助けを待っているだけではダメだし、きっと成長もしないだろうし、もうすぐプレゼンなのに、またもや危機的状況に陥っているのだから、1秒だって無駄にはできない。
その気持ちから、ぐっと課長に顔を上げた。
「あの、別の工場を当たってみませんか? デザイン画なら、すごい枚数がありますし、次回のプレゼンのときには、なんなら、そのデザイン画だけでもお見せするという方向では、とりあえずの解決にならないでしょうか」
「ほう。というと?」
「諸見里さんに気に入って頂けるかどうかは分かりませんが、私が手作りするよりは、よっぽど見栄えがいいと思いますし、こういうことになってしまいましたし、もしかしたら諸見里さんもご納得してくださるかもしれません」
そして、ふむふむと頷きながら思案を巡らせている課長に「どうでしょうか……」と。
そう、付け加えた。
すると。